十勝の風土に合った家づくり

とかち工房は、ツーバイフォー工法を採用し、太陽の恵みを暖房エネルギー源として取り入れるパッシブデザインをベースに、断熱・気密・耐震性の高いお住まいを提供しています。

これら基本性能ももちろん大切なポイントですが、当社の特徴はお客さまの夢やこだわりを形にする設計力であり、木材やレンガ、金物を加工して家をつくっていく大工職人たちの技術力です。

室内ドアや窓枠などの建具のほか、本格和室や本棚、収納家具、階段手すりなど、ほぼすべての内装を手作りで形にしていきます。

ここでは、最初に基本性能についてご紹介します。ものづくりの力から読みたい方は、こちらからどうぞ。
―熟練大工が語るとかち工房の家づくり

十勝の風土を生かした設計

十勝の特徴は、さんさんと輝く太陽と、夏と冬で最高60℃の温度差がある厳しい温度環境です。そこで快適に暮らすには、断熱・気密など住宅性能の高さはもちろん、お日さまのエネルギーをうまく活用するなど、十勝の気候を知り尽くした設計も重要です。

とかち工房の注文住宅は創業当初から国が定める省エネ基準(北海道はUA値0.46)をクリアする高性能住宅です。昨今のエネルギー価格の高止まりや地球温暖化にも配慮し、さらなる高断熱化を実現しながら、光熱費のかからないエコで快適な家づくりを進めています。

ご自身の牧場を見下ろす丘の上に、大空間のリビングとアール状のウッドデッキがある三角屋根の家を新築された広尾町Aさま邸

一般住宅はもちろん、農業や酪農を営むお客さまの住宅(農家住宅)にも実績があります。「大切にしている畑や牧場を見渡せる丘の上はどうか」、「小川が眺められる場所にダイニングを配置しよう」…など、十勝の厳しい冬に耐えうる高性能や、暮らしやすい間取りに加え、「広大な敷地のどこに住宅を配置するのが一番良いか」という配置計画も大切にしており、総合的な設計力に高い評価をいただいています。

ツーバイフォー工法を採用した丈夫で快適な住まい

実際の施工現場の様子

在来工法が柱(上下方向)と梁(横方向)で建物を支えるのに対し、ツーバイフォー工法は合板や石こうボードなど、釘止めした大きなパネルで壁と床、屋根をつくるBOX構造です。とかち工房では、このツーバイフォー工法を標準仕様として採用しています。最近は在来工法でも合板を使って床や壁を補強する考え方が広がっていますが、これはツーバイフォー工法の影響と言われています。

札幌時計台は1878年にツーバイフォー工法の原型となる工法で建てられ、150年後の現在も使われています

ツーバイフォー工法は、北米を開拓した人たちが少ない人数で頑丈な建物を建てようと編み出した合理性を重んじた工法で、40年前の日本再上陸以来、基本は何も変わっていません。その原型と言えるバルーンフレーム工法は、日本では明治初期の北海道に伝わり、札幌の時計台など、100年以上前に建てられた建物が現存していることから、耐久性は素晴らしいものですが、当時は高価なこともあって根付かず、戦後の混乱期まで、北海道では本州と同じ在来軸組で断熱性の低い住宅が一般的でした。

後藤が31年前に手がけたツーバイフォーの街並み

法律の整備などもあり、40年ほど前からツーバイフォー住宅が日本で再び建ちはじめました。本州では、一部の住宅メーカーが取り組んだだけでしたが、十勝では地元工務店が「より多くの人の暖かく快適な住宅」を実現するため果敢に取り組み、見事にツーバイフォー住宅を根付かせました。

今や、十勝の新築注文住宅の約半分はツーバイフォー工法、特に帯広市内では6割以上とも言われています。現在は、住宅以外の建物の木造化も進んでおり、管内でも有名コンビニの店舗や携帯電話ショップ、福祉施設など、ツーバイフォー工法の用途は広がっています。とかち工房は十勝、帯広の気候に合ったツーバイフォー注文住宅をこれからもお届けしていきます。

本物の素材を使い職人が丁寧につくる家

とかち工房が技術面でもう一つ大切にしているのは、手作りの温かさです。工場で大量生産した材料だけに頼らず、無垢材やタイル、自然素材などを使って丁寧に手作りした家は、キズや色の変化が味わいになり、年月が経つほど愛着が湧きます。

メンテナンスすることで長持ちする本物の素材を使い、職人が自分の手で丁寧に造ることで100年、200年持つような、サスティナブルで品質の高い住宅を実現することができるのです。また、今だけでなく、家族構成やライフスタイルの変化に対応した、長く住み続けることができるデザインとプランを提案しています。

熟練大工が語るとかち工房の家づくり

とかち工房の家づくりを語る上で欠かせないのが、腕の良い大工たちの存在です。断熱・気密に優れた建物の軸となる構造体の組み立てから、窓やドアの据え付けをはじめ、デザイン要素や仕上げの美しさが問われる洗面化粧台、カップボードやテレビ台などの家具、ドアや引戸といった建具まで、あらゆる部位を手づくりで造作。とかち工房の「手作りの温かさ」を支えています。

ここからは会社設立当初から長きに渡り、とかち工房の大工を率いてきた棟梁の筒渕 博(つつぶち ひろし)の話を中心に、お客さまのご要望を設計士や大工に繋げる、コーディネーターで営業部長の武藤ふみえとの対談を交えながら、一朝一夕では身に付かない匠の技や、家づくりの現場で大切にしているポイントなどについてお伝えします。

複雑に折り重なる小屋裏の下地を組みあげる大工棟梁/筒渕 博(つつぶち ひろし)(大工歴54年)

Q とかち工房に入るまでは?

筒渕 中学を卒業後に訓練校に1年通い、大工をやっているいとこのつてで見習いを始めました。3年ほど見習いとして仕事の基本を覚え、その後は1人親方のような形でいろんな会社さんの現場を手間請け(労務費だけ支払われる請負形式)して経験を積みました。そうした現場で、当時住宅会社で設計をやっていた後藤社長と知り合い、一緒に仕事をする中で信頼関係が出来て。とかち工房立ち上げの際は、自然な形で社員大工として参加しました。複雑に折り重なる小屋裏の下地を組みあげる大工棟梁/筒渕 博(つつぶち ひろし)(大工歴54年)

Q とかち工房の家づくりの特徴とは?

筒渕 やはり家づくりにかける時間の長さではないでしょうか。これまでの経験上、多くの工務店さんでは1棟・40坪ほどの家の完成までに二人の大工が担当して45日程度の工期だと思いますが、とかち工房はその倍以上は時間を費やします。特に建物の形が出来てからの家具や建具などの造作には時間をかけていますね。

西洋のお城をイメージした豪華な邸宅・帯広市Aさま邸

1年かけて建てたお宅もあります。こちらのお客さまは、東京の設計事務所などにも打診したけれど、どこからも理想のプランが出来ないと言われて困っておられたところ、うちの社長ならできるんじゃないかと紹介されたというご縁でした。最初に図面が出来た時は、お客さまが期待以上のプランに大変感激されていたそうです。現場の私たちも気持ちを込めて、最後まで丁寧に仕上げました。

後藤の手書きパースとイメージ通りに仕上がった家の内部

武藤 造作については、社長の後藤や私が図面をつくって大工さんに渡します。私の場合はスケッチラフのようなものですが、それをイメージ以上の形にしてくれるのが大工さんです。よくこの図面でこの完成度の家具を造ってくれたな、といつも感服しています。また、後藤は手描きパースでイメージを先に伝えたり、現場に貼られた石膏ボードに直に描いて指示したりもします。

Q 技術の継承はどのように?

筒渕 今、大工は見習いを含めて17人ほどの職人がいて、3班~4班に分けて現場を担当しています。人数もそれなりにいるので他の現場のヘルプなど、微調整も出来る体制です。ほかに現場監督が1名いて、全ての現場を担当します。20代、30代の若手が数人いますが、特に20代の職人とは一緒に作業をして指導しています。1日何個かの作業を覚えていけば育っていくものですが、すぐに身に付くほど簡単なものでもない。昔、自分たちが育てられた時とは違って頭ごなしに叱るようなことはせず、じっくりと向き合っています。30代になると、かなりの仕事が出来るようになりますね。

Q 現場との連携はどのように?

筒渕 例えば現場でお客さまに造作家具の変更を希望されたり、図面では予測できなかった設備機器などの関係で寸法が合わないなど、図面通りに納まらないような時はすぐに社長や武藤、現場監督などに相談しています。

武藤 今は電話だけでなく、LINEなどで画像を送ってもらうこともでき、より便利になりました。徹底した情報共有を心掛けてチームワークを大切にすることで、設計と現場の認識の一致ができています。先日もお客さまから、設計主任である後藤社長とプランナーの武藤、そして現場の大工が一連で同じ話をしてくれるのが安心だという声をいただき、嬉しく思っています。

Q 現場のチェックはどのように?

筒渕 後藤社長は外観が出来上がった段階でチェックに来ます。天井の高さや傾斜天井の角度などを確認し、その他の納まりも見ます。

武藤 クロスを貼り終えた後でも、ケージング(天井廻縁)など納まりが悪い場合はやり直しになります。大工さんだけではなく、内装・塗装・左官と、全業者にキチンとダメ出しをして直していますね。お客さまには分かりにくい細部まできれいに仕上げます。私と現場監督でチェックした上で、さらに社長のチェックを行っています。

Q この仕事のやりがいは?

筒渕 やはりお客さまが完成した家を見て、喜んでくれることですね。特に難しい造り物(造作の家具、或いは空間全体の造作)などをやりきった時などは、自分でも嬉しいものです。もともと後藤社長のプランは造作ありきですが、年々、その難易度は増し、進化しています。その変化・進化について行くには、感覚的にも技術的にも理解が必要になってくる。

熟練の大工が悩み、工夫を重ねて自分のものにする。その様子を見て、若手も「見て」「やって」「こうだな」と掴んでいく。それが職人の仕事であり、これからもその積み重ねが大切で、それが後々に繋がっていくのだと思っています。